イタリア

2009年9月17日 (木)

イタリア その3 二つのドゥオーモ

フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ教会とシエナのドゥオーモ 

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フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ教会

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シエナのドゥオーモ 

イタリア トスカーナ地方を代表するゴシック?様式の教会だが、中世 この二つの都市国家は互いに競い合っていた。
フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ教会は建替えの度に大きくなりドームは世界一の大きさである。

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ドーム

シエナはフィレンツェに対抗するため現在のドゥオーモの身廊を翼廊として90度向きを変えた改修を試みサンタ・マリア・デル・フィオーレより大きな教会を作ろうとしたが、ペストの流行などでシエナの財政が圧迫され途中で中止されたまま現在にいたっている。

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工事途中の側廊

教会の向きを90度変えるということは祭壇を南西向きから南東向きに変えることになる、なかなか増築の発想が面白いと感じた。

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現在の広場には工事途中の側廊が残っているが、教会内部にある白と緑の大理石のストライプと比べてストライプの幅は粗く装飾も簡素になっている。もしこのまま造られたとしたらサンタ・マリア・デル・フィオーレと似たインテリアになり現在のシエナの内部の様な密度の高さはなくなっていたのではないだろうか。

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シエナのドゥオーモの内部空間

この2つの教会はゴシック様式といわれるが、イギリス・フランス・ドイツにある聖堂とはかなり趣が異なっており、正面の装飾を除きどちらかというとロマネスク様式に近いと感じた。もっともサンタ・マリア・デル・フィオーレの正面は1700年代の改修だそうだ。

教会の向きもイギリス・フランス・ドイツのゴシック様式はそろって西を正面にしているが、イタリアの教会はあまりこだわりがないように思う。

以下の航空写真はいずれも北が上の同一スケール

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アミアン大聖堂

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パリ ノートルダム大聖堂

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ケルン大聖堂

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ミラノ大聖堂

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ランス大聖堂

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ウエストミンスター寺院

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サンシュルピス教会(パリ) ダビンチコードで有名になった教会

西を正面にするやり方は初期のロマネスク様式からでカロリング朝フランク王国(現在のフランス)から始まっており、国王の席を西構えと呼ばれるツインタワー棟の2階に置き西日を背にして国王に後光が差しているように見える演出から始まったようだ。、ミラノは西向きでフライングバットレスなど典型的なゴシック様式だが西正面のツインタワーがない。イタリアの教会建築までは西構えは反映されなかったようだ。

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サンマルコ寺院

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サンタマリアノべーラ教会(フィレンツェ) 南向き

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サンロレンツォ教会(フィレンツェ) 東向き

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サンピエトロ寺院

イタリアの寺院建築には西構えははっきりしないが大きなドームがある寺院が多い。

自分なりに解釈すると、ドームは古代ローマからある建築様式でローマのパンテオン神殿はドーム建築の典型である。頂部に空いた穴から差し込む日光は窓のないドーム周囲にスポットライトを当て大変感動を与える。イタリアの教会建築は多かれ少なかれこのドーム様式を受け継いで作られているように思う。

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パンテオン神殿

ドーム様式は東ローマ帝国の首都であったイスタンブール(コンスタンティノーブル)のハギヤソフィアなどビザンチン建築に影響を与え、それがベネチアのサンマルコ寺院の正十字平面やドームが乗った様式に影響しているのではないかと思っている。

ゴシック建築の西が正面というのも、前述のフランク国王のためではなく、東から昇る太陽を祭壇の後ろから入れるために東に祭壇を持ってきたかったからではないだろうか?

上のシエナのインテリアは祭壇の方向を見ているが、丸い窓は装飾性に欠け採光のために設けられているデザインで直射が入るのではなく北向きの天空光が似合っている。

その代わりにドーム頂上に明かり窓がある。これは古代ローマのドーム建築から受け継がれたものであり、ゴシック建築と呼ばれながらも、ゲルマン民族の作り上げたゴシック様式とは異なる様式の建物になっている。

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シエナのドーム見上げ

下の写真はパリのノートルダムの祭壇だが、ステンドグラスで装飾され、ここに直射が当たると光芒が生じ、神の存在を示す空間になる。

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パリ ノートルダム インテリア

 

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2009年9月13日 (日)

イタリア その2(路と広場の空間構成)

道と広場の空間構成

イタリアの中でも中世都市国家の形態を残した町では、細い路地を進んでいくと突然目の前に広場空間が広がる。

幾度となく建築関係の文章で呼んだフレーズであるが、実際に体験すると本当に感動する。道は道路際いっぱいに建った建物の落とす影の空間、しかも道幅が狭く直線が続かないため見通しが利かない。対して広場は光にあふれている。また、突然現れるという意外性も感動の一因かもしれない。

狭い路地からの解放感と同時に影の世界から光に世界への突然の変化が心地よいのだと思う。

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ベネチア サンマルコ広場近くの路地

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サンマルコ広場 

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フィレンツェ サンロレンツォ教会前の道

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サンロレンツォ教会

ベネチア・フィレンツェなどと並び道と広場の空間構成で有名なのはシエナであろう。

カンポ広場を中心にした都市国家で他の都市とは違い山岳地帯にあるため坂も加わり魅力となっている。

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シエナの路地

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シエナ 路地から見るマンジャの塔

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カンポ広場直前のブッブリコ宮とマンジャの塔

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カンポ広場

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カンポ広場航空写真(google map)

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イタリア その1(建築規制と景観)

建築規制と景観

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リアルト橋からのベネチアの街並み

日本の京都などにみられる町屋は2階建てで、瓦の勾配屋根が道から見えるのが普通の感覚である。その結果、日本人の馴染みの街並みとは道幅に比べて両側の建物は高くなく道には日が当たっている様であり、それは長い歴史の中で醸造されてきたものだろう。
これは多分に、日本家屋は木造軸組みであり火災に弱く延焼防止から道幅もある程度取る必要があったし、地震が多く構造上2階建てが限度だったためと思われる。現在日本の建築基準法の道路斜線制限という考え方は、この都市景観から発想されたものではないかと思っている。

Machiya日本の街並み

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道路斜線制限

対して、組積造の建築が発達したヨーロッパの都市では、軸組みと違って採光のための開口部が制限される組積造の建物に暮らしているがために、道のための採光より道に面して壁面積が最大限とることによって建物への採光を優先させると同時にパティオ形式としてパティオからも採光できる平面の考え方が出てくるのだろう。

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ローマの航空写真(google map)パティオ形式がよくわかる

京都の町屋は、道に面した正面は格子をはめた大開口を設け採光を十分取っているが奥行きが長いためパティオと同じように坪庭があり、坪庭からの採光を考えて作られている。

道幅に関係なく一定高さの建物が敷地いっぱいに立ち、道への採光は考慮されず影を生み、細い路地を進んで突然現れる広場が光と安らぎを与えるという景観が町全体に形成されている。この景観は、中世都市国家の面影をそのまま残すシェナやベネチアに顕著である。

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シエナの街並み

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ベネチアの街並み 

それに比べてローマはある程度の道幅があり自然発生的な街並みというよりある程度都市計画の中で発達した都市に思えるが、フランスのパリに比べると古代都市が所々残るためはっきりとした秩序が見えない。スカイラインの統一など基本的な景観は保全されているが古代ローマとルネッサンス期の建物が並ぶとすれば無理はないかもしれない。

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ローマの街並み

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ローマの航空写真(軸ははっきりしないが街の色があらわれている)

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パリの航空写真(ローマに比べて都市軸がはっきりしている)

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シエナの航空写真(地形に合わせた自然の形態で都市ができている)   

その反面、高層ビルが全く無い。パリであればデファンスのように高層建築が立ち並ぶ地域があるのだがローマには無い、ローマだけでなくフィレンツェにももちろんベネチアにも無い。都市全体に厳しい建築規制がかけられていることが容易に想像できる。単なる高さ制限ではなく建替えそのものを規制しているように思われる。地震がないからこそであるが美しい。

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サンピエトロ寺院から見たローマ市街(スカイラインは統一されている)

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パリ市街  凱旋門からみたシャンゼリゼ通り(遠くに高層街のデファンスが見える)

東京を見てみると時代時代で考え方が変わりそれが幾重にも重なってすっきりした秩序が見えない。時代ごとにその時代の理屈や規制でで作られた建物が混在するため雑然とした印象を与える。

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東京新宿区の航空写真 大きなビルと戸建て住宅が混在、戸建ての瓦の色も赤・青。緑とさまざま →街の色はグレー(色が混じった結果濁ってしまったグレー)

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