浄土寺 浄土堂

2009年11月12日 (木)

浄土寺の光の変化(アニメーション)

前回に続き動画シリーズです。

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今回は、前にモデリングした浄土堂の一日の光の変化をアニメーションにしてみました。

静止画ではわからない堂内の変化がよくわかります。簡単なアニメーションでこんなに感動的な出来事が起こるとは想像できませんでした。

シミュレートした日は2009年5月10日の朝3時から夜7時までです。

途中 朝9時から西面の蔀戸が開き始め午後1時に開き終わる設定にしています。開く時間が長すぎるかと思いますが、このくらい時間をかけて開かないとビデオ上では一瞬で開き終わってよく変化がわかりません。

西側の蔀戸が開き始めると第一段階の変化が起こります。それまでは東側正面の戸から差し込む天空光であまり演出効果のない光環境ですが、西側から光が差し込むことで浄土が再現され始めます。

ここでだれもが長源の演出は凄いと思うのですが、更に変化が起こります。夕方太陽が浄土堂の正面に来る時刻に堂内がオレンジ色に輝き、その色が仏像にも写りこんで圧巻です。まさにこれが浄土再現なのだと感動します。

ぜひ見てほしいです。

簡単とは言え製作には24時間以上かかっています。個人でできるCGの限界を感じています。

アップしたファイルはWMV形式で3MB程度なので解像力があまり良くありませんがオリジナルはAVI形式で30MB程あります。かなり劣化していますがそれでも感動は伝わると思います。

ここのブログではアップできるファイルの限度が1MBに制限されているので、別のサイトに仮置きしてそこからダウンロードできるようにしました。

ついでに、仏像も少しリファインしました。なんとなくそれらしく見えると思います。

ビデオ再生ここをクリック

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2009年5月31日 (日)

西方浄土

Photo_3

兵庫県小野市にある極楽山浄土寺、そのお寺の中に浄土堂という阿弥陀如来を安置する国宝のお堂がある。西方浄土を再現したことで有名な国宝のお寺だ。

上の絵は、晴天の夏の夕方、西側の蔀戸を全開して光を取り入れた状態をシミュレートしたもの。約30度の角度の西日がお堂の床に反射し、朱に塗られた化粧小屋組を照らすことで、堂の中央に配置された阿弥陀如来、勢至菩薩、観音菩薩の3体の仏像が赤く輝いている。また床は反射光でハレーションを起こし白くぬけてあたかも仏像が雲の上に浮いているような感覚になる。

仏像のモデリングは大変時間がかかるし、資料も少なく難しいためデフォルメしている。

仏像に詳しい人からクレームがきそうだが、このブログの趣旨は光の演出を考えることのためご容赦願いたい。

この堂は、今から800年前に創建された重源上人の作。重源は真言宗のお坊さんで同時期に奈良に東大寺の再興を行った人である。

浄土堂も東大寺と同じ構造様式の大仏様を採用している、しかしそれだけでなくここでは、周辺の景観を取り込みながら浄土をこの世に再現するという演出を行っている。

宇治の平等院鳳凰堂も東向きに建てられ、鳳凰が羽を広げた様に似た鳳凰堂を池越しに西側に見る配置は浄土を再現したものと言われているが、光の演出をここまで考えた建物はここだけではないだろうか?

Photo_4

下の写真はこのお寺の周辺の航空写真(google map)だが、真西より少し北に振れた角度で浄土堂が建っている。この少し北に振れたことが重要なのだが、西側正面に溜め池が来るように浄土堂が配置されている。お寺の伽藍自体がこの軸で構成されているところをみると、お寺の建立時から考えられた配置のような気がする。

Photo

なぜ西側正面に池が来るように配置したのかは、このお堂の演出と大きくかかわっている。

西日を池の表面で反射し、お堂の中に導き入れるように設計されているのだ。そのために晴天の多い夏、真西より北に太陽が沈むことを計算し、少し北に振った軸で池が正面に来る配置が考えられたものと思われる。

東側上空から見た、浄土堂と池の様子を再現してみた。

Photo_2

浄土堂のモデル(外部はかなりはしょっているため、今後、仏像とともにリファインしていく予定)

Gaikan

小野市という場所を選んでこの演出を考えたことも計算のうちであろうか?

奈良や京都の様な大都市でこの周辺景観を取り込むという演出を行っても、800年間そのままであることはなく演出意図は忘れ去られていたことと思う。

このお寺も1980年代に解体修理がおこなわれるまで約400年間は、西側の蔀戸は板戸で覆われ自然光が入ることはなかった。

通常仏像が安置されているお堂というものは、窓がなくうす暗い雰囲気の中に金色の仏像が浮かび上がる絵のほうがイメージしやすい。400年前の人もそんななじみの雰囲気の中で仏像を拝みたかったのだろう。下図は、自然光が入らない状態で、蝋燭の光でシミュレートしたものだ。

Zinkousyoumei_interior3 

背後に闇が存在し、日本人にはなじみの空間である。陰翳礼讃。

しかし西日を入れた絵は圧巻であり、日本のお寺にはまずない光の演出である。

演出意図は忘れられても、800年にわたり周辺環境が変わらなかったことに感謝したい。

というか重源という人の洞察力に敬意を表したい。

浄土宗は、南無阿弥陀仏と唱えれば極楽浄土に行けるという教えで一般大衆に広く信仰されている宗派である。多くの人を信者にするために、西方浄土を目の前に再現して見せるというのはかなり効果のある演出だったのではないだろうか?

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2009年5月23日 (土)

方形の家

崖の上の家は、方形を二つの軸でずらした形だった。ずらした事で方形の時と建築物としてどう違うのか?を検証してみたくなった。

同じ面積(20m角)なのにたとえば外壁の面積はどうか?柱の数は?たぶん同じ面積の建物なのに、壁量や構造数量で建設コストは大きく変わってくるはずだ。

との思いから作ったモデルが下記だが、

Hougyouorg_3 中身がついてこない。いくらプランニングしても田の字プランになる。どうしても外観からくるシンメトリーから頭が離れない。で、思いっきり象徴的にしてみた。もはや数量検証のモデルではなくなってきている。

Hougyou

ここまでやって、別のアングルからみたモデルがこれだが、

Hougyoushomen

この正面のイメージになんとなく見覚えがある。Déjà-vu というやつだ。何だろう?どう見てもお寺にしか見えない。“崖の上の家”で海に面した西面に大開口を創り西日の演出を考えたが、比較のために西面に作った大開口とお寺の形と西日が重なり、出てきた言葉が“西方浄土”、昔どこかで見たテレビ映像が浮かんでくるが思い出せない。

で、googleでいろいろ検索してやっと見つけた。

極楽山浄土寺浄土堂

Photo_2

兵庫県小野市にあるお寺。寺院建築にしては反りやムクリのない直線的な屋根、正方形平面をもつ、阿弥陀如来の仏像を安置するためのお堂だ。

記憶にあるのは、1987年にNHKで放映された “国宝の旅 浄土再現” という番組だった。

浄土堂は、阿弥陀如来、勢至菩薩、観音菩薩の3体を堂の中心に据えた仏像のための堂である。仏像の基礎が堂の床を貫通し建物の基礎と一体となり転倒を防いでいることからも、この仏像のために創られた堂であることは間違いない。しかも、光の演出が施され西方浄土を再現しているという。

是非その演出をCGで再現してみたくなった。

作ったモデルと写真を比べると柱割から違っている。

修正したモデルがこれ、

Hougyou3span2

Photo_3

Hougyousection

Hougyouinterior

なんとなくそれらしいが、まったくイマージが違う。浄土堂は、東大寺南大門の構造と同じ大仏様という構造をもつ、建物自体が国宝の指定を受けている代物。しかしこの構造をモデリングするのはものすごい労力が必要。そもそも演出の対象である仏像のモデリングは、自分の力量では不可能に近い。

光の効果の再現という意味ではデフォルメもやむを得ないと思う。

それよりは敷地外の溜め池の位置や高さ関係、建物の方位、開口部の大きさ、屋根勾配などに注意をはらってもう少しブラッシュアップしていこうと思う。

Hougyousection2

浄土堂の断面と今回のモデルを重ね合わせた図。今回のモデルでは、光を反射する反射板としての機能を持つ化粧屋根裏が重要な演出要素になっているため小屋組や垂木を再現する必要がある。

以下 次回

   

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